主婦だって在宅漫画アシスタントになりたい!〈3回目〉は、在宅漫画アシスタントで仕上げと呼ばれる作業の解説をしていきたいと思います。
前々回の記事、
主婦だって在宅漫画アシスタントになりたい!〈1回目〉『漫画アシスタントの今昔、在宅漫画アシスタントって何?』
で述べたように、背景やモブを作画する作業ではなく、仕上げ作業員として漫画アシを始めるための記事になります。
まず前提として述べておくことは、
この記事を読むことで、仕上げ作業の在宅漫画アシスタントになるために何を覚えないといけないかが分かります。
作業の細かい方法などは述べていませんが、それに対する参考記事(CLIP STUDIO TIPS(公式)へのリンク)を貼っています。
目次
仕上げの前に理解しておくこと
在宅漫画アシスタントの仕上げ作業をするためには、CLIP STUDIO PAINTの基本的な使い方を覚えることはもちろんですが、
漫画の原稿を扱う上でアシスタント側が覚えておくことがあります。
1,原稿用紙の枠と原稿設定(モノクロ、グレースケール)
漫画の原稿用紙には基本3つの枠があります。
一番内側が基本枠、次が仕上がり枠、一番外側が裁ち落とし幅。
それぞれに意味があります。きちんと役割を理解しておきましょう。
日本の漫画は基本的に、モノクロの設定で作りますね。
Web漫画も多いのですが、紙媒体で出版できるようにモノクロで作られることが多いです。
たまに、Web限定の漫画だとグレースケールの原稿設定で制作されることがあります。
この辺は、漫画家さんが考えることなので、特にアシスタント側が気にする必要はありませんが、モノクロとグレースケールの違いは覚えておいた方が良いでしょう。
レイヤー設定でも、モノクロとグレースケールを使い分けたりもしますしね。
※参考記事リンクはCLIP STUDIO TIPS(公式)へのリンクになっています。
2,コマ枠フォルダーの扱い
CLIP STUDIO PAINTでのコマ割りではコマ枠フォルダーを使うことが多いです(他の方法もある)。
コマ割りとレイヤーの整理の仕方は漫画家さんでやり方が違ったりします。
例えば、
ペン入れレイヤーやトーンレイヤーなどをコマ枠フォルダーごとに分けて制作している人。
もしくは、
別のレイヤーフォルダーを作って、ペン入れフォルダーごと、トーンレイヤーごとに分けて制作している人。
など、漫画家さんによってまとめ方が違うので、コマ枠を自分で制作することがなくても、コマ枠フォルダーの扱いは理解して、漫画家さんがどのようにレイヤー整理しているか、すぐ理解できるようにしておきましょう。
仕上げ作業の種類
では、仕上げ作業にどんなものがあるか解説していきます。
漫画家さんによって、やって欲しい作業が違ったりするので、ひととおりはできるようになっておくのが良いでしょう。
1,ベタ(ベタ塗り)
指定箇所を黒く塗りつぶすこと。塗りつぶしツールを主に使う。塗りつぶしツールには細かい設定とサブツールがそろっているので、それらを駆使して細かいところやはみ出ているところを上手く処理できるようにする。
2,つやベタ
髪の毛を艶を入れながらベタ塗りすること。
漫画家さんによって頼まれたり頼まれなかったりする。(つやベタにこだわりがある漫画家さんは自分で塗ることが多い)
漫画家さんによって艶の入れ方が違ったりするので、いくつか漫画を見て、どのような艶を入れているか参考に見てみるのがいいです。
つやベタは少し難しいので練習してみて下さい。
CLIP STUDIO ASSETSで「つや」「ツヤ」で検索するとつやベタに最適なペンやブラシを見つけることができます。
3,トーン貼り
仕上げ作業の中での主な作業と言えばトーン貼りです。
基本のトーン、パターンのトーン、グラデーショントーンなどありますが、それぞれの特徴を理解しましょう。
トーンを貼るうえで、レイヤーマスクの扱いも覚えておきましょう。
CLIP STUDIO PAINTを購入すると追加素材をダウンロードでき、その中にトーンも入っていますが、柄と効果・心情のトーンは少な目でイマイチなので、CLIP STUDIO ASSETSで無料や低いCLIPPYでダウンロードできるものを多少集めておいてもいいかもしれません。
ダウンロードした素材は素材パレットで専用のフォルダーを作って使いやすいようにまとめておきましょう。
CLIPPYを使って素材をダウンロードするために、CLIPPYを購入する方法もありますが、私はCLIP STUDIO ASSETSで自作の素材を出品してCLIPPYを貯めて、貯めたCLIPPYで他の素材をダウンロードしています。
自分が作った素材を人に使ってもらえるのは嬉しいし、CLIPPYも貯まるし、一石二鳥なのでCLIP STUDIO ASSETSへの出品はおススメです。
4,集中線、流線
図形ツールの集中線、流線ツールを使って集中線、流線を作画します。
集中線、流線は背景アシスタントさんにまかせることも多いですが、仕上げアシスタントさんに回ってくることもあるので、やり方は覚えておきましょう。
集中線、流線ツールの他に、図形ツールの定規作成の特殊定規を使って、集中線、流線を引くこともまれにあります。
5、フキダシ
これもまれですが、フキダシの作成を頼まれることもあります。
フキダシは素材パレットから引っ張ってくるだけで簡単に作れます。後、フキダシにしっぽを付けたり、線の太さを変えたりなどの操作を覚えるといいですね。
6、ブラシツール
ブラシツールを使うことは割と多いです。まず、トーンの削りに、カケアミや点描のブラシを使います。
トーン削りは仕上げアシスタントでは必ずと言っていいほど頼まれる仕事です。なので、CLIP STUDIO ASSETSでよさそうな、トーン削り用ブラシを探しておきましょう。
あと、トーンを貼るように、モヤモヤ、どろどろ、キラキラ、花など感情表現に合うブラシを使ったりします。
あと、葉っぱや木などの背景ブラシを頼まれることもまれにあります。
ブラシツールの使い方は覚えておきましょう。
7、ペン入れ
これは仕上げには入らないかもしれませんが、まれにペン入れを頼まれることがあります。
漫画家さんが忙しい時などに頼まれます。
ペン入れに自信がなかったら断ったりしますが、できるに越したことはないですね。
仕上げ作業を難なくこなせるようになったら、練習しておくのもいいかもしれません。
ペン入れは線の強弱を上手く扱え、綺麗な線を引けるようになることが重要です。
練習用、CLIP STUDIO PAINTファイル配布〈案内〉
在宅漫画アシスタントの模擬的な体験ができる、CLIP STUDIO PAINTのファイルを配布しています。
(指定の入った原稿)のファイルと、(完成見本)のファイルがあります。
zipで圧縮されているので、解凍してお使い下さい。
漫画アシスタント原稿(指定)
漫画アシスタント原稿(完成)
【ファイル内容】
指定用トーンについて、細かく指示が入っている箇所は指示通りに、(モヤモヤしたトーン)などのあやふやな指定は、合うようなトーンを自分でピックアップして貼ってください。
完成原稿
※個人使用(練習用)のみ!再配布、商用利用は禁止しています。
練習結果をSNSにアップすることは許可しておりますが、
必ず素材出典元(そらお工房、Twitterの場合は @sora_o)の明記をお願いします。後、アシスタント実績、またはアシスタント先への参考画像としての提出はしないで下さい。
トーン指示について
トーンの指示については、漫画家さんによって違います。
ぴっちり指示を入れる人、ぴっちりとお任せの部分がある人、まるっきりお任せの人など漫画家さんによってそれぞれです。
まあ、どちらにしても慣れればどちらでもいいんですがね(;^ω^)
おわりに
さて、ここまで読んでいただきありがとうございます。
在宅漫画アシスタントの仕上げ作業は、CLIP STUDIO PAINTの機能を使えばあらかたのことができることが分かると思います。
やることが分かれば効率よく、練習ができると思います。
ぜひ、この記事を参考にしていただき、在宅漫画アシスタントになる一歩を踏み出してみて下さいね。